映画「アメリカン・スナイパー」

３月１日のファーストデーに、映画「アメリカン・スナイパー」を鑑賞しました。

この映画は、アメリカ軍で最も強い狙撃手と呼ばれた、クリス・カイルの自叙伝を実写化したドラマ。
アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズ所属のスナイパーであった彼が、イラク戦争で数々の戦果を挙げながらも心に傷を負っていくさまを見つめる作品。
戦争とは何かを問うテーマに加え、壮絶な戦闘描写も見もの。

ストーリーは、イラク戦争に出征した、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイル（ブラッドリー・クーパー）。スナイパーである彼は、「誰一人残さない」というネイビーシールズのモットーに従うようにして仲間達を徹底的に援護する。
人並み外れた狙撃の精度からレジェンドと称されるが、その一方で反乱軍に賞金を懸けられてしまう。
故郷に残した家族を思いながら、スコープをのぞき、引き金を引き、敵の命を奪っていくクリス。
４回にわたってイラクに送られた彼は、心に深い傷を負ってしまう。

クリント・イーストウッド監督の実在する人物に焦点を当てた作品。
この作品を通じて戦争がいかに愚かで何も得られない事を再認識しました。

死と隣り合わせと戦場と、アメリカでの平和な家庭生活。
劇中内でも、この２つのギャップが大きいのですが、クリス・カイルら帰還兵にとっては、帰国しても心が晴れる事がない日々。
戦場では、自軍を守る為とはいえ女、子供をも、その手にかけたクリスにとっては罪悪感にも苛まれていた事と思います。

クリスにとってのモットーみたいなものは「守る」という事の使命感。
少年時代には弟を守り、結婚してからは家族を守り、戦争では仲間を守る。
その使命感によって、本来は優しい人格なのに、160人もの人を射殺したクリスの苦しみを、どう捕えていくべきなのか自分にはわかりません。

やがてクリスは戦場を離れ、新たな使命感に邁進しようとしていた矢先にＰＴＳＤに苦しむ仲間によって殺されてしまう。
史実とはいえ、あまりにも残酷な結末には絶句してしまいました

その後の無音のエンドロールが不気味であり怖かったです。
まるで、クリス・カイル氏への哀悼の意を込めていたようでしたね。

今でもアメリカと中東諸国の間で争いが続いています。
そして、日本人までもが犠牲になった。
醜く何ももたらさない戦争やテロが、いつかは終わる事を願ってやみません。

アメリカン・スナイパー (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
早川書房
クリス・カイル

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Comments

[にゃむばなな]

あの無言のEDロールは西部劇のヒーローだったクリント・イーストウッドだからこそ、逆に凄く雄弁なものになっていましたよね。
銃で国家を守る象徴だった男が今それに疑問を投げかけている。それが何とも素晴らしいものに思えましたよ。

[FREE TIME]

＞にゃむばななさん
上映中は戦場の音が凄まじかっただけに、あの無音のエンドロールが余計に印象に残ってしまいますね。
クリス・カイル氏の冥福を祈っていたようでした。