映画「ファースト・マン」

映画「ファースト・マン」を鑑賞しました。

この映画は、「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングが再び組んだ伝記ドラマ。
人類初の月面着陸に成功したアポロ11号の船長ニール・アームストロングの人生を描く作品。

ストーリーは、幼い娘を亡くした空軍のテストパイロットであるニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)は、NASAの宇宙飛行士に応募し、選抜される。
彼は家族と一緒にヒューストンに移り住み、有人宇宙センターで訓練を受ける。
指揮官のディーク・スレイトン(カイル・チャンドラー)は、当時の宇宙計画において圧倒的優位にあったソ連も成し得ていない月への着陸を目指すと宣言する。

人類初の月面着陸を成し遂げたニール・アームストロング氏を主人公にした壮絶なドラマ。
この映画は、アームストロングが空軍のテストパイロットだった1961年から始まる。
月面着陸に成功したのは1969年。
その8年間は必ずしも順風満帆ではなかったというか失敗の繰り返し。
そんな、いくつもの困難の中から月面着陸成功に至るまでの過程も、この作品を通じて学ばせていただきました。

当時、敵対視していたソ連に宇宙開発でことごとく先を越されてしまうアメリカ。
人類初の月面着陸を成功させる事で巻き返しをはかろうとするが、膨れ上がった莫大な予算に国民の理解は厳しく非難の声がすらあがってしまう。
実際に、このアポロ計画は、当時のコンピュータ技術からして、かなり無謀な計画だったそうです。

1966年にアームストロングは、ジェミニ8号の船長として史上初のドッキングを命じられる。
ジェミニ8号に飛び乗ったニールは、アジェナ目標機とのドッキングに成功するが、今度はジェミニの回転が止まらなくなってしまう。
その危機的な状況は何とかニールの冷静な判断で脱したが、人命が危険に晒された事で国内メディアから糾弾されてしまう事になります。

失敗すれば即死につながる最も危険なミッションだけに、入念にテストを繰り返すが、訓練機の墜落や火災事故などが相次いで発生し、仲間達が次々と犠牲になってしまう。
世間のバッシングが強まっていく中で、ニールはアポロ11号の船長に任命される。
前人未到のミッションな為に、本当に無事に生きて帰ってこれるかどうかわからない。
その事情を自分自身の口から子供達に説明し、悲痛な面持ちで聞く妻と子供達が観ていて辛かったです。

そして、メインとも言える月面着陸のシーン。
史実通り、月面着陸に成功するのですが、その初めて月面に降り立ったニールの視点を体感できるカメラワークに息をのみ、月面の風景に心を奪われてしまいました。
月って、こういう感じに見えるのかと。

本物のニール・アームストロング氏が語った名言「人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ。」が劇中にも出てきます。
自分1人の力だけでなく、周囲の支えがあってこその偉業である事を伝えたかったのでしょう。
この偉業に到達するまで多くの犠牲を払ったからこそ重みのある言葉だと思います。

ラストで月から帰還したニールが妻・ジャネット(クレア・フォイ)とガラス越しに再会するシーンは、偉業を讃えるものではなく、無言の会話状態でしたね。
それだけ、お互いに不安な日々を多く過ごしてきたのでしょう。

ニール・アームストロング氏が月面着陸に成功したのが1969年。
今から、ちょうど50年前になりますね。
50年前のコンピュータは、今ほど高性能ではなかった筈なので、よく月まで着いて、よく帰ってこられたと思います。
それでは、当時からすれば無謀な計画であり、そして偉業だったのだと思います。



この記事へのコメント

2019年02月10日 23:29
映画の99%は不安で覆われ、残りの1%が安堵で、それがラストシーン。
これまで「動」の映画を撮ってきたデイミアン・チャゼル監督がまさかこんな「静」の映画を撮るとは…。
2019年02月11日 20:21
>にゃむばななさん
本当に「静」の映画でしたね。
月面着陸に成功したシーンは、本当に時が止まっているかのような感覚でした。

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