映画「バイス」

映画「バイス」を鑑賞しました。

この映画は、ジョージ・W・ブッシュ政権下で副大統領を務めたディック・チェイニーを描く社会派ドラマ。
主演のクリスチャン・ベイルは、大幅な肉体改造を行い、チェイニー副大統領に扮した作品。

ストーリーは、1960年代半ば。
酒癖の悪い電気工ディック・チェイニー(クリスチャン・ベイル)は、恋人のリン(エイミー・アダムス)に激怒され、彼女を失望させないことを誓う。
その後、下院議員のドナルド・ラムズフェルド(スティーヴ・カレル)のもとで働きながら政治のイロハを学んだチェイニーは、権力の中に自分の居場所を見いだす。
そして頭角を現し大統領首席補佐官、国防長官になったチェイニーは、ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)政権で副大統領に就任する。

2001年の同時多発テロをきっかけにイラク戦争を開戦させたブッシュ政権。
そのブッシュ政権の知られざる内幕を、当時の副大統領だったディック・チェイニーを中心に描いた作品。
ブラックジョークのようでジョークではなく、これが事実という所が恐ろしいという事を痛感する作品でした。

最初は政治の世界とは無縁の電気工だったチェイニー。
恋人に叱咤されてから奮起して政治を学び、次第に共和党に身を寄せていく。

一方で政治の世界とは別に大企業のCEOにまで上り詰め、家族を大事にして、ブリーダーとしても活躍するなど心優しい一面を持つ男。
前半だけを観ていると、とても「影の大統領」と呼ばれた男には見えませんでした。

そして、突然のタイミングでエンドロールの画面が。
「えっ、もう終わり?」と思って、暗い中、腕時計を見ると、まだ上映終了時間に至っていない。
「どうなってんの?」と思いましたが、後になって思えば、ここまでが優しい男・チェイニーの終焉を暗示していたのかも(汗)

そして、ある日、大統領選に立候補する意向のジョージ・W・ブッシュから大統領に就任した暁には副大統領へのオファーをチェイニーに申し込みます。
今、思えば、ジョージ・W・ブッシュが大統領になった事がチェイニーにとっても、アメリカにとっても、そして世界にとっても不幸の始まりでしたね。

そして起こった2001年の同時多発テロ。
テロ発生直後にチェイニーはブッシュに戦争をけしかける。
ブッシュもすっかり、その気になってしまい、かつて湾岸戦争をけしかけた父親同様に、新たな戦争をおっぱじめてしまう。
ここまで来ると、最早コメディとは呼べず、「ブラックコメディ」のブラックの度合いは、もう漆黒レベルだと思いました。

全くもって、この映画の登場人物達は、もうA級戦犯のレベル。
この連中のお陰で50万人とも言われるイラク人がなくなり4,000人を超えるアメリカを中心とする連合軍の人々が死んだ。
この映画事態は、それほど深いわけではないが、表面だけ見ても、この連中の極悪ぶりは、ムカつくほどに、よく分かります。。
しかし、実在する人物が存命な内に、こういう映画が作れるのもアメリカならではだと思いますね。

かつて、当ブログでブッシュ元大統領を批判する記事を書きましたが、この映画を観た事で、改めてジョージ・W・ブッシュこそがアメリカ史上最悪の大統領である事を再認識しました。
そして、その大統領を陰で支配していたチェイニー元副大統領も。

それにしても、役作りとはいえ、クリスチャン・ベイルは大幅な肉体改造をしてきましたね。
鑑賞後に、実際のチェイニー氏の画像と比較してみましたが、見事なまでにそっくりさんになってしましたからね。


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この記事へのコメント

2019年04月24日 23:37
副大統領という役職をたった一人でここまで変えてしまう剛腕さ。
ある意味ディック・チェイニーが大統領にならなくて良かったと思うと同時に、やはりブッシュ・ジュニアはアメリカ史上下から数える方が早いほどダメな大統領ですね。
トランプさんやニクソンさんといい勝負ですわ。
2019年04月27日 08:57
>にゃむばななさん
コメント遅くなり失礼しました。
本当にブッシュとチェイニーはロクな事しませんでしたね。
この2人がいなければ無益な戦争が起きなかったかと思うと、本当に怒りが沸いてきます。

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