映画「夜明けのすべて」

映画「夜明けのすべて」を鑑賞しました。

この映画は、「そして、バトンは渡された」の原作などで知られる瀬尾まいこの小説を映画化。
瀬尾自身のパニック障害の経験を基に、人には理解されにくい疾患を抱え、生きづらさを感じながら生きる男女の交流を描く作品。

ストーリーは、月に1度、PMS(月経前症候群)の影響で激しいイライラを感じてしまう藤沢美紗(上白石萌音)は、転職してきたばかりの同僚・山添孝俊(松村北斗)のささいな行動をきっかけに、ストレスを爆発させてしまう。
その後藤沢は、やる気がなさそうに見える山添が実はパニック障害を患っており、生きがいや気力も失っていることを知る。
互いの事情を知った二人は職場の人たちの理解に支えられながら、同志のような関係を築いていく。

NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村北斗と上白石萌音。
今度は会社の同僚の間柄で、朝ドラとの違いは上白石萌音の方が先輩という設定。
テーマは重そうな感じでしたが、久しぶりの共演ともあって劇場で鑑賞してみる事にしました。」

冒頭ではどしゃぶりのバス停で藤沢美紗が傘もささずにずぶ濡れになって横になるシーンから。
藤沢は普段は温厚な性格だが、月に1度のPMS(月経前症候群)の症状でイライラを抑えきれなくなる状態になります。
ある日、ささいな事で後輩の山添に怒りを爆発させてしまいます。

実は山添にはパニック障害という症状が。
彼がやる気なさそうに見えたのも、そのパニック障害によるもので、藤沢同様に症状が原因で前の職場を辞めています。

2人が働く栗田科学。
社長は社員は2人の事情を知りつつも仲間として温かく見守ります。
栗田科学の社員達にも、それぞれの事情を抱えている中、一致団結したチームワークで社内を支え合う。

この映画では藤沢や山添の症状や発作を非日常として強調するのではなく、日常の風景の中の1つとして淡々と描いていきます。
やがて、距離を取り合っていた藤沢と山添の間にも変化が出てきます。

この映画に出て来るPSMとは生理がある女性の3人に1人が、パニック障害は性別や年齢を問わず100人に1人が発症するとの事。
それ程、身近な病気なのに自分はどちらとも発症した事がなく、社会的に馴染みの低い病気。
劇中内の藤沢と山添を見ていると、メンタルヘルスが社会問題化する現代に訴えているように感じました。

タイトルにある「夜明けのすべて」。
劇中内にも出て来た「夜明け前が一番暗い」。
自分も何度か聞いた事がある言葉ですが、「最も暗いときは夜の明ける直前である」いうことわざです。
夜明けは闇に包まれた夜の終わりで、1日の始まり。
夜明けのすべてを感じる事で、光が差し込んでくる。
栗田科学が企画した天体ショーでの藤沢のナレーションを聞いていて、そんな意味なのかなと感じました。

プラネタリウムは、あまり行かないのですが、この映画を観て、またプラネタリウムに行ってみようかなと思う気持ちになりました。
もっとも鑑賞中に寝てしまうかもしれませんが。

この映画で最も印象に残ったシーンはエンディングのシーン。
母親の介護の為に退職した藤沢が抜けた栗田科学の昼休みを映していたのですが、職場の同僚でキャッチボールしたり子どもと一緒に出掛けたりなど和むシーンでした。

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