映画「室井慎次 生き続ける者」

映画「室井慎次 生き続ける者」を鑑賞しました。

この映画は、「踊る大捜査線」シリーズで柳葉敏郎が演じた室井慎次を主人公に、過去の事件にも絡む新たな事件を描いた2部作の後編。
故郷の秋田で穏やかに暮らしていた室井の周囲で起きた殺人事件の顛末が描かれる作品。

「室井慎次 敗れざる者」の続編。
室井慎次が暮らしている家の納屋が火事になった続きから始まります。

その納屋に火をつけたのは、防犯カメラから日向杏(福本莉子)である事が分かります。
ただ放火ではなく誤って納屋の物に燃え移って火事にまで発展してしまったもの。
前作のレビューを書いた際に「今回は静かだった日向杏は、どのように変貌していくのか。」と展望を上げましたが、特に変貌する様子はなし。
室井と森貴仁(齋藤潤)たちと一緒に静かに暮らしていきます。

「死体を埋めた犯人は誰なのか。」については、あっさりと犯人が判明して逮捕される事になります。
それも上映開始後、早い時間に逮捕されたので、残り時間はどのように描いていくのかと疑問に思いました。

その後は、室井と子供たちの暮らしを中心に話は進んでいきます。
貴仁の高校生活や柳町凛久(前山くうが)が刑務所から出所してきた父親(加藤浩次)と一緒に家を出るなど、暮らしにも変化が訪れていきます。

凛久は以前から父親から虐待を受けていて、再会しても怖がっていたシーンが印象的。
やはり子供が一度感じた恐怖から、なかなか逃れられないものなのだと。
室井も更生したものと信じて、凛久を父親のところへ返すが、またしても凛久は虐待を受けて室井の所へ戻す事に。

そして巷で賛否両論が分かれている結末。
凛久の父親と対峙するシーンはなんとか収束したが、その際に家の外へ出て行った愛犬を探す為に猛吹雪の中、外へ出て行って心肺不能状態となり、最後は・・・。
室井慎次という男を、こういう形で終わらせるのは、何だか悲しいし納得できない部分があります。

室井を演じた柳葉敏郎は、室井慎次のイメージが強くなってしまったので殉職を望んでいたとの事。
警察は辞めたので殉職ではないにしても、こうして室井の一生を終える事によって、本人の希望を叶えさせたと言えると思います。
もっとも、今の柳葉敏郎と言ったら「踊る大捜査線」の室井慎次よりも「ブギウギ」のスズ子の父ちゃんのイメージが強くなっていると私は思いますが。

結局、「踊る大捜査線」で出て来たのはキャリア組の面々のみ。
和久さん(いかりや長助)は既に亡くなっているし、恩田すみれ(深津絵里)は以前に撃たれた時の後遺症で警察を辞めたとの事。
これで終わりなのかと思いきや、ラストで青島俊作(織田裕二)が室井宅を訪れようとして、結局は電話で呼び出されて戻る事に。
「何しに出て来たの」と思った途端に英語で「レジェンドは続く」と言った感じの字幕。

果たして青島が秋田まで来た目的は?
そもそも刑事でなくなったのだから捜査も出来ない。
もし続編があるとしたら、刑事に戻って室井の遺志を継ぐ青島を見て観たいですね。

この記事へのコメント