映画「35年目のラブレター」

映画「35年目のラブレター」を鑑賞しました。

この映画は、一通のラブレターを巡る夫婦の実話をベースにした人間ドラマ。
読み書きができないまま年齢を重ねた夫が、長年自分を支えてくれた妻に感謝を伝えるラブレターを書こうとする作品。

ストーリーの主人公は、貧しい生まれ故に十分な教育を受けられず、読み書きができないまま大人になった西畑保(重岡大毅)。
やがて皎子(上白石萌音)と出会い結婚するも、読み書きができないことを彼女に打ち明けられずにいた。
あるときその事実を皎子に知られてしまうが、彼女は保の手を取り「今日から私があなたの手になる」と告げる。
月日が流れ65歳になった保(笑福亭鶴瓶)は、寄り添い支えてくれた皎子(原田知世)に感謝のラブレターを書きたいと考え、定年退職を機に夜間中学に通い始める。

実話を基にした作品。
読み書きの出来ないまま大人になった人が、いかにして手紙を書けるようになったのか興味があったので劇場鑑賞してみる事にしました。

この映画の舞台は奈良県。
ところどころで奈良県の観光名所が出てくるし、鹿も登場します。
奈良はあまり訪れる機会が少ないけど、やはり風情があっていいなと、この映画を観ていて思いました。

貧しい家に生まれた西畑保は、ほとんど学校へ行けず、読み書きが全く出来ないまま大人になっていきます。
劇中内でも読み書きが出来ないばかりに仕事で恥をかいたり、同僚にからかわれたり。
保が読み書き出来なかった要因の1つに戦争もありますが、戦争によって学ぶ機会が少なかった人は現実にもかなりいるそうです。

そんな保が還暦を過ぎて、長年支えてくれた妻の為に夜間中学で勉強する事を決意します。
夜間中学にはお年寄り、若者、外国人など様々な人が学びます。
当然、その人によって教え方も変わってきますが、そんな生徒たちを丁寧に教える夜間中学の谷山先生(安田顕)も素晴らしかったと思います。

最初に書いたラブレターで厳しい評価をされた保は、皎子が納得してもらえるラブレターを書こうと、夜間学校に何年も通い続けて必死に勉強をします。
しかし、時の流れは非情なもので保がラブレターを渡す前に、皎子が突然旅立ってしまいます。
実話でもそうだったのでしょうけど、そういう兆候が以前からあったとはいえ、流石に辛いシーンでしたね。

その後、保は皎子からの手紙を偶然見つけて、彼女の思いを知る事になります。
お互いが書いたラブレターに2人の歩んできた時間の重みや深い絆が感じられました。

劇中内で印象に残ったセリフが2つ。
「辛いことも、ちょっと足せば幸せ」
「嫌いなものも、いい所を3つ見つけたら幸せになる」
「辛」と「幸」は良く似た字ですが、意味は正反対。
1文字足せば幸せになるという表現には成程と思いました。

最近はメールが普及していて手紙を書く機会も減っている人が多い事でしょう。
メールの方が楽だけど、大事な思いを伝えるには手紙の方が相手に伝わると思います。

笑福亭鶴瓶と原田知世、重岡大毅と上白石萌音。
それぞれの西畑夫妻を演じていましたが、どちらの夫婦も最高の夫婦でした。
そんな夫婦だけに、お互いが書いたラブレターには愛情が籠っていたのだと思います。

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